野口体操とはどういう体操なのか
自然に貞く(きく)、からだに貞く、という野口体操、みなさんはこの体操をご存知でしょうか。
この野口体操を創始したのは、東京芸術大学名誉教授の野口三千三という方です。
彼は外部から何かを付け加える、取り除くのではなく、人の一生の中の可能性、その芽、種が自分の中に存在すると考え、自分の体の中にある無限の可能性をみつけるための体操、野口体操を考案しました。
体育業界ではアウトサイダー的な存在として生き、1998年にこの世を去った野口さんが編み出したこの体操は、からだの動きから人を見直すという「身体哲学」という考えとしても多くの方々に共感され、現在でも支持されているという体操です。
生きること、それ自体が創造だと伝えるこの体操は、人の体を構成する主軸「水」が瑞々しい状態であることで、人は柔軟性を得ていると考えて作られています。
柔らかいというのは、外部から何か刺激を受けて柔らかくなるではなく、変化に対して柔軟性があるというもので、滑らかな動きを大切にしています。
言葉と意識と体との関係を探り、そこに体操を組み合わせることで、しなやかに生きるための術を得る体操として、多くの方がこの体操に意味を感じ、現在でも身体と意識がバランスよく組み合わさっている状態にしようと日々、行われているものです。
柔らかいという事は強さも巧みさも持っている
硬ければ何かを受け止めようと思う時、時には自分が傷つき、時にはぶつかってきたモノを傷つける、でも柔らかさを持っていれば柔軟に受け止める強さを持っているのと同じになります。
この体操ではどこかに力を込めて体操を行うとか、筋肉を駆使して運動するという事ではなく、力をぬいて常にやわらかい状態である事が大切です。
力を抜くという事のポイントは重さで、重力に逆らうのではなく、重力をうまく自分の味方につけてコントロールすること、しなやかに動くことで重力には向かう動きではない動きができると説いてます。
体操というと決まりきった型があったり、こうするべきというやり方などもありますが、野口体操の場合、一言で言ってしまえば、人のよってその方法にも違いが出てきますし、これがあっているというやり方はなく、その人本人しかできないものととらえることができます。
無理なくゆらゆらと揺れる気持ちのいい運動
野口体操では重力にはむかう動きは求めていません。
重力を利用して体がゆらゆらと自由にやさしく揺れる体操、というイメージです。
体力をつけようと思ったり、痩せたいと思ったり、またスポーツの基礎として行う体操は、特に苦しく、時に試練が必要で長続き出来ないことも多々あります。
しかし野口体操は我慢して強くなるという考え方ではなく、自分がどう動けば楽なのか、理にかなった動きができるのかという事がメインなので、気持よく、やさしく、試練なども必要なくだれでもチャレンジできる運動です。
現代人は何かするにつけ、肩の力が入ってしまうものですが、どのような事でも肩に力が入っていてはいい結果が出ないものです。
その力の抜き方を教えてくれる体操といってもいいでしょう。